今年の4月、「生活困窮者自立支援法」が施行されます。
また「子どもの貧困対策法」もこれに先立ち実施の運びとなりました。このことは、所得格差が子どもの未来を左右するほど深刻となっていることを示しています。
私が子どもの頃の高度経済成長はどの子どもにも成長と夢をもつ機会を用意し、ある程度この実現が可能な社会でした。しかし、高度成長という条件がなくなった現在、社会や大人がこれを用意する必要があるでしょう。
子供たちは良い生活・社会環境の中でこそ成長し、この環境を用意するのは社会や大人の責任だからです。
私たちは、子どもの成長にとってよき社会環境を作り上げる一助として、家庭の事情から学習の機会を逸しがちな子どもたちのための学習塾を開設しました。このような学習塾の取り組みは首都圏や大都市を中心に進められていますが、茨城県内ではまだ一部の地域に限られ、活動も限定的です。
このきっかけとなったのは、シニアの方々の社会に役立ちたいという強い思いでした。
私たちは子どもたちの学ぶ意欲と、シニアの方々の教えることを通じて、社会に役立ちたいという気持ちをつなげてこの学習塾を立ち上げました。このために、私たちは、東京都の国分寺市や世田谷区で先進事例を視察し、そこでの学びを基に、昨年11月に本塾を始動させました。
塾開講後の大きな問題は塾生への指導方法です。確かに子供たちの学力レベルは千差万別ですが、分かりたいという気持ちはどの子どもも同じように強く持っています。
分かった時の子どもの笑顔はこちらを幸せにしてくれます。本塾の講師は元教員、塾の元講師、現役教員の方々です。
当然、講師は経験豊富な方々で、十分な教育力を備えた方々ばかりですが、さらに、子どもたちの抱える多様で複雑な問題を理解し、幅広い学力レベルに対応できるように教育力を磨いて、指導方法を工夫していく必要があると思っています。
子どもたちには「かなえたい夢」があるでしょう。
また、子どもたちは「かなえたい夢」を持ちたいでしょう。
本来、大人や社会はこの夢に向かって成長する良い環境を用意する必要があります。
私たちは「所得格差」という厳しい環境の中で少しでも子どもたちの分かる喜び、学習する喜びを保証したいと思っています。
もちろん私たちの取り組みは些細なものですが、微力であったとしても子どもたちが笑顔で未来を描けるようなお手伝いをしたいのです。
しかも、長期的にみれば、この取り組みは地域を支える人材の育成でもあり、地域づくりの一環でもあります。
だからこそ、私たちはこの取り組みをさらに拡大する努力を継続しなければならないと考えています。